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分散機の原理・種類・使用用途を解説

分散機は、粒子を均一に分散させるための機械です。分散機の応用分野は幅広く、主に化学産業や食品産業、医薬品産業などの製品生産に利用されています。本記事では、分散機の原理や解砕プロセス、種類、使用用途について解説し、アシザワファインテック製の分散機も紹介します。

分散機とは

分散機とは、固体粒子や液滴を別の媒体(気体または液体)中に細かく、かつ均一に分散させるための機械装置です。異なる物質同士を均一に混ぜ合わせることも可能です。塗料やインク、化粧品、医薬品などの品質向上に不可欠で、粒子の偏りがないことが望ましい製品を製造する際に用いられています。

分散機は粒子のサイズをより小さくし、粒子間の凝集を防ぎながら、目的とする媒体中に拡散します。分散による粒子の均一性は、安定性や色合い、質感といった製品の仕上がりに直接的あるいは間接的に影響を与える要素です。したがって、最適な分散機を選択できるかどうかが、製品開発において非常に重要であるといえます。

これにより、目的とする粒子径になるまで循環させたり、良好な分散状態になるまで運転を続けられます。循環運転方式は品質面、効率面の両方でメリットがあると言えます。

分散機と類似する機械に「ホモジナイザー」があります。ホモジナイザーは液体や液体中の固体粒子を高い圧力で狭い通路を通すことにより、粒子サイズを微細化して均一な分散を実現する装置です。分散機とホモジナイザーは、用途や粒子の性質などによって使い分けられています。

分散機の種類

分散機には、気中分散機と液中分散機の2種類に大別できます。文字通りに使用される媒体が気体か液体かによって区別され、それぞれ異なる用途と特性を持っています。

気中分散機

気中分散機は、粉体や粒子を空気やガス中で分散させるために使用します。乾燥した粉末状の物質を扱う場合に適しており、塗料の粉末、食品加工における粉体の混合、製薬産業での粉末薬の製造などで利用されています。

気中分散機の代表的な種類は以下のとおりです。

・エジェクター型分散機/ベンチュリー型分散機/オリフィス/細管
気流の加速、せん断流れを利用して粒子を分散させます。

・障害物衝突型分散機
ノズルからの気流で凝集粒子を加速し、平板やワイヤーメッシュなどの障害物に衝突させて分散させる機械です。

・流動層型分散機/回転ドラム式
流動層や回転ドラムによって機械的に解砕します。

・回転翼型分散機
回転翼による外力の複合作用を利用し、凝集粒子を分散させます。

液中分散機

液中分散機は、液体媒体中に固体粒子や液滴を分散させる機械です。また、乳化や溶解など特定の化学的プロセスを促進したり、粒子サイズと分散度を制御したりすることができます。主に、インクや化粧品、食品、医薬品といった液体ベースの製品製造で活用されています。

液中分散機の代表的な種類は以下のとおりです。

・撹拌槽
速度変動あるいは撹拌翼への衝突によって、異種の粒子を混合・分散させる装置です。

・高速回転せん断型撹拌機(デスパ/ディスパー)
間隙での強力なせん断流れと高速回転翼の外力によって、凝集物の解砕や分散をします。

・コロイドミル
高速回転ディスクと固定ディスクの狭い間隙へ液体ごと粒子を流し込み、高せん断流れにより分散させます。粘度が高い処理物に向いています。

・ロールミル
2本または3本の回転するロールによって、せん断力と圧縮力を与えて分散します。コロイドミルと同様に、高粘度の処理物に適した分散機です。

・高圧噴射式分散機
高圧噴射された処理液の衝突エネルギーを利用する分散機です。固定板や処理液に凝集粒子を衝突させて解砕し、サイズを小さくします。

・超音波分散機
超音波(周波数が20kHz以上)による振動や、気化にともなう気泡(キャビテーション)によって分散させる機械です。

・容器駆動型ミル(回転ミル/振動ミル/遊星ミル)
容器を動かし、内部のボールなどを粒子に衝突、あるいは摩擦させて分散します。駆動機構によって、回転ミル、振動ミル、遊星ミルに区分されます。

・媒体撹拌ミル(アトライター/ビーズミル)
ボールやビーズを媒体とし、その衝撃力とせん断力を利用して分散する装置です。
分散の種類

分散機の原理

分散機の原理は、物質を微細な粒子に分解して均一に分散させることです。ただし、分散機は気中分散機と液中分散機の2種類に大別され、それぞれの原理は異なります。ここでは、両者に共通する原理を踏まえ、気中分散機と液中分散機に特有の原理を解説します。

気中分散機と液中分散機に共通する原理

気中分散機と液中分散機に共通する基本的な原理は、粒子に力を加えて「解砕」し、分散させることです。高速で回転するディスクや羽根車を利用して、物質に対して強いせん断力を加え、粒子同士の結合を破壊します。また、粒子間の衝突が起きることで、より細かく、偏りなく分散していきます。この一連のプロセスにより、粒子が均一なサイズに砕かれ、分散媒体中に均等に分布するというのが両者に共通する原理です。

気中分散機の原理

気中分散機は、主に乾燥粉末を空気や他のガス中で分散させる機械です。気中分散機は、高速回転するディスクやブレードが空気中の粉末粒子に動力を与えて細かく分割し、気流に乗せて分散させるという原理を利用しています。粒子の細分化と分散は、空気の流れと粒子の運動エネルギーに依存します。さらに、気中分散機では粒子の帯電を利用して、再凝集を防ぐことも可能です。粒子に同じ電荷を持たせて互いに反発させることで、分散状態を維持します。

液中分散機の原理

液中分散機は、液体中に固体粒子や液滴を分散させることに特化しています。液体分散機の原理は、液体の粘性を利用して粒子にせん断力を加えることです。高速回転するディスクや羽根車が液体を動かし、その流れが粒子に力を加えたり介在物や障害物へ衝突させたりすることで解砕し、分散させます。また、液中分散機の中には、超音波振動を利用して粒子間の結合を破壊し、より高い分散度を実現する機種もあります。これらの原理によって粒子は効率的に細かく分割され、液体中で均一に分散されます。

解砕とは

解砕とは凝集粒子を物理的に細かく分散させることであり、広義の粉砕操作のひとつです。凝集粒子がほぐされて小さく分解されると、その比表面積(単位質量当たりの粒子の総表面積)が増加します。比表面積が大きくなることで、化学反応の効率が向上したり、媒体中での分散性が高まったりします。

解砕によって粒子の物理的な特性を変化させて、製品の機能性や品質の向上を図ることも可能です。塗料の光沢や発色、鮮明さに寄与したり、医薬品の溶解速度を改善したりすることができます。

分散機の使用用途

分散機は、製品の安定性を高めると同時に使用感や外観も向上させることができるため、多岐にわたる産業で幅広く使用されています。主な使用用途は、塗料やインクの製造、化粧品や医薬品の調合、食品・調味料の加工、新素材の開発などです。以下、分散機の使用用途を分野別に解説します。

塗料・インク産業

分散機は塗料やインクの製造において、顔料を溶剤や樹脂に均一に分散させるために広く使用されています。顔料を分散させる工程は、塗装時の色合いの一貫性と品質を保証するために不可欠です。顔料をより細かく、均一に粉砕することで、質感や発色の向上および生産時間の短縮を可能にします​​。

化粧品・医薬品産業

化粧品や医薬品の調合においても、分散機は有効成分やその他の成分を均一にして安定化させるために有効です。色ムラや成分の偏りをなくし、製品の効果や安全性、使用感の向上につながります。例えば、クリームやローションなどでは、テクスチャーや薬効成分の均一化によって効果の最大化が期待できます。

食品産業

食品加工における粒子の分散と均一性は、食品の質感や風味、安定性に大きく影響します。また、ソースやドレッシングなどの調味料は油と水を均一に混合させる必要があるため、分散機の活用が欠かせません。

新素材開発

新素材開発においては、ナノフィラーを用いたコンポジット材料(ナノコンポジット)の開発などで分散機の利用が注目されています。新たな特性や機能を実現するために素材の均一な分散が必要になるケースは多々あり、分散機が重要な開発ツールとなっています​​。

アシザワファインテックの分散機紹介

アシザワファインテックでは、お客様のご要望に幅広く対応できるよう、さまざまな分散機を取り揃えております。

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