技術情報
やさしい微粉砕・分散技術
分散機の種類と特長について
気中分散機と液中分散機との違い
「分散機」とは、気体・液体の中に、別の物質が粒子状に散らばって存在する分散状態をつくる装置をいう。分散機には「気中分散機」と「液中分散機」の2種類があり、それぞれ次の特長を持つ。
気中分散機について
「気中分散機」とは、粉体(粒子凝集体)を乾式で解砕し、気体中へ供給する装置のことで、凝集体を解砕する外力としては、気流の加速度により粒子に作用させる分離力、せん断流れ場で生じるせん断力、障害物への衝突による力、および機械的な解砕力が利用される1)。
気流の加速およびせん断流れを利用した代表的な分散装置として、「エジェクター型分散機」「ベンチュリー型分散機」「オリフィス」「細管」がある。凝集粒子を衝突させる分散装置では、ら旋管やベンチュリー管内に障害物を設置したもの、凝集粒子を気流とともにノズルで加速し障害物に衝突させるものがある。障害物としては、平板やワイヤーメッシュが用いられる。機械的解砕を利用した分散機としては、流動層型分散機や回転ドラム式があげられる。さらに、種々の外力の複合作用を利用した分散装置としては回転翼型分散機がある。
液中分散機について
液中での凝集粒子の分散には、強度な速度場と速度変動、介在物や障害物への衝突、超音波が利用される1)。
もっとも簡単な分散装置は「撹拌槽」で、種々の撹拌翼が考案されている。凝集体は、撹拌翼近傍での強度な速度変動や撹拌翼への衝突により分散するが、すべての凝集体が翼近傍を通過せず、分散にばらつきが生じる。
「高速回転せん断型撹拌機」は、高速の回転翼と外筒との狭い間隙へ凝集粒子を通すことにより分散する装置で、間隙での強力なせん断流れと前後の強度な速度変動により分散する。
「コロイドミル」は、高速回転ディスク・固定ディスク間の狭い間隙での高せん断流れにより分散。「ロールミル」は、2本または3本の回転するロール間の間隙を利用したせん断力と圧縮力により分散する。これらは古くから使用されている分散機であり、高粘度の処理物に使用される2)。
「高圧噴射式分散機」は、処理液を高圧噴射し、固定板もしくは処理液同士に衝突させることにより分散する。
「超音波分散機」は、超音波振動やキャビテーションなどにより分散する。
「容器駆動型ミル」は、回転容器内などに挿入された媒体(ボールなど)の衝突、摩擦により分散する。その種類には、「回転ミル」「振動ミル」「遊星ミル」がある。
「媒体撹拌ミル」は、媒体であるボールやビーズを使用し、媒体の衝撃力とせん断力により分散。媒体撹拌ミルには、「アトライター」や「ビーズミル(サンドミル)」などがある。
引用文献
- 粉体工学会編:粉体工学用語辞典第2版、p.312、日刊工業新聞社(1981)
- 最新『顔料分散』実務ノウハウ・事例集-新しい用途展開/分散工程および安定化のコツ/トラブル対策/試験評価-、p.269、技術情報協会(2005)