シリコン(ケイ素)

    
材質 シリコン(ケイ素)
請求機能・特徴 耐熱性、耐寒性、耐候性、透明性、電気特性
平均粒径 非晶質 粒径 10nm~1.5μm
非多孔質 粒径 3~20μm
粒子形状 球状、鱗片状
具体的用途例 抵抗体、研磨剤、ガラス成分、半導体、太陽電池、セメント、液晶材料、光学部材、封止材料用フィラー、プリント基板用フィラーシリコン樹脂、シリカゲル、シリコンナノ粒子(負極材料)
利用用途(粒径別) 0.01〜300 μm 半導体封止材、モールドアンダーフィル、接着剤、塗料、対火物
3〜10 nm 基板コア材、塗料、接着剤、アンチブロッキング材
0.01〜100μm 半導体封止材、アンダーフィル、モールドアンダーフィル、基板コア材、ソルダーレジスト、カバーレイフィルム、層間絶縁材料

シリコン(ケイ素)の主な機能

シリコン(ケイ素:Si)は、半金属に分類される元素です。地球では埋蔵量が多く、シリコンが占める割合は27.72パーセントとなっており、主要な構成元素となっています。天然では石英(SiO2)や珪酸塩鉱物(SiO4)として埋蔵されています。

似た言葉に「シリコーン」がありますが、シリコーンはケイ素と酸素の結合物を含んだゴム状の物質を指します。シリコーンゴムなどが代表的な例です。

シリコンが最も利用されるのは、半導体分野です。高純度の単結晶シリコンを円柱状のインゴットにし、薄くスライスしたものを「ウェハー」と呼びます。このウェハーは、半導体素子製造の材料となり集積回路チップの原料として利用されています。

シリコンにホウ素やアルミニウムなどを添加した「P型半導体」や、シリコンにリンやヒ素などを添加した「N型半導体」などでシリコンは利用されます。いずれの利用でも、シリコンを高純度にする必要があるため、シリコンの精製技術は特に研究されています。

セラミックスの原料としてもシリコンはよく利用され、セラミックス用途では主に、シリコンの酸化物である「シリカ」が使われます。シリカはガラスの主成分です。窓ガラスやレンズなどに加工され利用されるほか、繊維状に加工したものは断熱材のグラスウールとしてやFRP(繊維強化プラスチック)などとしても使われています。

シリコンは鉄を鉄鉱石から精錬する際にも、溶解した鉄の中に入れられ、脱酸材として利用されます。鉄の添加物としても利用されることがあり、シリコンが0.5%以下の含有率では、延性や靭性を阻害することなく、鉄の強度を上げることで知られています。

また、シリコンの含有率を3~6%に高めた鉄を「ケイ素鉄(シリコンスチール)」と呼びます。ケイ素鉄は透磁率(磁化しやすさ)が高いという特徴から、変圧器やモーターに利用されます。

シリコンを含む、メタケイ酸ナトリウムは「シリカゲル」と呼ばれ、食品などのパッケージに入れられる乾燥剤としても利用されます。結晶性アルミノケイ酸塩は「ゼオライト」と呼ばれ、多孔質構造をしており、触媒やイオン交換材料などとして使われています。

シリコンは、生体にとっても必要不可欠な元素で、酸化物であるシリカとして皮膚や髪の毛、骨などにも含まれています。生体に含まれているシリカは水溶性で、鉱物由来のシリカは不溶性で微妙に組成が異なります。

シリコン(ケイ素)ナノ粒子の主な機能

シリコンをナノ粒子化すると、様々な応用利用ができると期待されています。

注目を浴びているのが「太陽光パネル」での利用です。太陽光パネルのパネル表面に、5nm以下のシリコンナノ粒子を塗布すると、太陽光を電気エネルギに変換する効率が上がるという研究が発表されました。太陽光パネルの効率を上げるため、さらなる研究がなされています。

シリコンナノ粒子を利用した「シリコンナノワイヤー」は、ナノ電子デバイスとして期待されています。シリコンナノワイヤを利用すると、集積回路の省電力化などが見込めると考えられており、新しい構造のトランジスタの素材として注目を浴びています。

また、ナノ粒子化したシリコンは、その粒径に応じて違った色を発色する蛍光発光をします。蛍光特性がある物質は他にも存在しますが、生体への毒性が懸念される場合もあります。しかし、シリコンナノ粒子は生体への安全性が比較的高く、蛍光波長も広いなどの特徴から、細胞観察などのバイオセンシング技術として研究が進んでいます。

シリコンナノ粒子はその他にも、プリンテッドエレクトロニクス、二酸化窒素のセンサーとしてや、リチウムイオン電池の大容量化などが期待されています。