ナノ粒子とは?ナノ粒子の粒子径
ナノ粒子とは、粒子の直径が数ナノメートル~数百ナノメートルの粒子を指します。粒子の直径は粒子径と呼ばれます。粒度も粒子径と同じ意味です。ナノは10億分の1メートルで、イメージが全くできないほど小さなものです。
粒体や粉体は、我々の生活の中でも身近なものです。例えば、小麦粉の粒子径は20マイクロメートル~170マイクロメートル、牛乳に溶け込んでいる成分は1マイクロメートル程度とされています。人間の舌は、液体に混ざった30マイクロメートルよりも大きい粒子だと、ザラザラしていると認識できるようです。
人間の舌では認識できない牛乳に溶け込んでいる成分のさらに1/100前後の大きさがナノと呼ばれる世界なのです。
粒子径で変わる物質の性質
粒子径がかわるとその性質も大きく変わってきます。
一般的に粒子径が小さくなればなるほど下記のような性質が強くなります。
- 流動性
- 静電気帯電性
- 吸湿性
- 凝集性
さらに粒子を細かくしてナノ粒子化すると、また新たな性質が現れてきます。物質によっても異なりますが、大まかな傾向は以下の通りです。
- 表面積の増大による活性化
- 拡散性
- 透光性
- 蛍光発光
ナノ粒子化でのみ得られる性質の変化がほとんどで、近年ではナノ粒子のこれらの特性を利用したものが身近な場面で活躍しています。
表面積が大きくなることで、周りにある物質との化学反応を起こしやすくなったり、光エネルギーを受けると有機物を分解したりする場合があります。このような機能から、高機能な吸着材(活性炭、ゼオライト、アルミナ、プラチナなど)としてや光触媒コーティング(酸化チタンなど)の材料としてナノ粒子は使われます。
また、ナノ粒子は液中での高い分散性を持ちます。通常の粒子の場合長期間、液中に放置しておくと沈殿しますが、ナノ粒子化した物質は沈殿せず、混ざりあった状態を維持します。
ナノ粒子化により透光性が高まり、光を通しやすくなります。従来では透明度の問題でカメラや顕微鏡やスマホのガラスといった光学分野では使えなかった材料が、コーティング材として活用できるようになってきました。
粒の大きな砂を混ぜた水よりも、粒子の細かい粘土を混ぜた水のほうが流動性が高いのは想像ができるはずです。他の性質も同じように粒子径が小さくなればなるほど、基本的には上記の性質が強くなります。
蛍光発光はイメージしにくいかもしれませんが、ナノ粒子は粒子径に応じて蛍光色に発光するようになります。この蛍光発光は、特にバイオセンシングなどの目的で、医療分野で利用研究が進められています。
ナノ粒子の粒子径の測定方法
ナノ粒子化することで、特殊な性能を発揮できるようになりましたが、粒子径が均一でなければその特性を安定して発揮するのは難しくなります。ナノ粒子の中にわずかでも大きな粉体が混じっていると、求めている効果を発揮してくれない場合もあるのです。
そのため、安定してナノ粒子化できているのかどうかを評価することが重要になってきます。ナノ粒子は小さいため測定が難しく、正しい大きさを測定するには「光子相関法」や「レーザー回折/散乱法」といった光を使った方法を使用するのが一般的です。
動的光拡散法
光子相関法は、拡散した状態の粒子にレーザー光を照射し、レーザー光の反射したゆらぎを検出し、そのゆらぎを元に粒子径を測定する方法です。小さな粒子ほどゆらぎが激しくなり、大きな粒子ほどゆらぎが緩やかになります。
レーザー回折/散乱法
レーザー回折/散乱法では、光子相関法と同じようにレーザーを照射しますが、ゆらぎではなく散乱光のパターンから測定するという点で異なります。レーザー回折/散乱法では、粒子径が小さくなると、前方から後方へレーザー光の反射の割合が増えます。観測された散乱光の角度や強度から、Mei散乱理論を用いて粒子径分布導き出します。